看板をかえたら世界がかわった!!

看板をかえたら世界がかわった!!

「看板を変えたら世界が変わった」

~自分に対するイメージを変えれば、周囲の反応が変わる~

 

野生の世界では、弱い動物は群れで行動します。

アフリカの草原では水牛や、インパラなど群れで行動します。天敵から身を守るためです。その中でも弱い

存在(子ども)、弱っているもの、群から遅れているものが狙われます。

 

猿の群れにはボス猿が存在します。その集団の中では一番強く、争いに勝利して、その地位を手に入れたのです。数年して、若い雄猿の力が強まってくると、ボス猿の座を巡って、争いがおきます。そして、その闘いに勝利したものが、新しいボス猿になります。

多くの動物の世界では、「力の強いものが、その集団のリーダーになる」という掟があります。

違った見方をすると、力を失えば、その座を降りなければいけません。動物の種類によっては、闘いに負ければ、その群れを追い出されたりします。

トップに立つものは、常に闘いに負けて、その座を奪われる不安を抱えているのです。

 

こうして考えると「力が強いものが世界を支配する」という考え方は、人間においても戦争の歴史などを振り返ってみると、最近まであった考え方になります。

その価値観は「自分が正しくて、相手が間違っている」という考え方になります。

力を手にしたい人は、時に相手を攻撃します。力により、相手をねじ伏せて、権力を手に入れようとするのです。

仕事でパワハラしてくる人も「自分が正しくて、相手が間違っている」という価値観を持っているのでしょう。

いわば職場で縄張り争いをしているのです。相手より有利に立つために、相手を攻撃するのです。

 

本当に強い人は、あまり闘うこともありません。大人の力士がちびっこ相手に相撲をしても、力の差は歴然なので、安心して対応できます。闘っても勝つことが、はっきりとわかっているからです。

精神的に成熟していけば、勝ち負けの世界から抜けだし、調和の世界へ移り変わって行きます。

 

パワハラするような人も、自分より強い相手には噛みつきません。人生は「勝つか負けるか」だと思っているからです。自分より弱い相手を見つけるのが、本能的に優れています。直感的に自分より、強いか、弱いかが

わかるのです。人に打ち負かして、自分の安全を確保するのが、その人のやり方なのです。そうして領土を拡大してきたのでしょう。

 

 

中学生はいたずらするのが好きです。Cさんは、学校校内を歩いていると「あれ、恋人募集中なの?」

「〇〇さんとお似合いだよ」など、ニヤニヤして声をかけられます。

何だか変だと思っていると、先生に「君、こんなのがついているよ」と言われ、背中を指摘されました。

なんと背中にガムテープが貼ってあって、そこには「恋人募集中」と書かれているのです。きっと誰かのいたずらに違いありません。

 

 

人というのは、その人が「自分で自分のことをどういう人間だと思っているのか」ということに反応するのです。それは「スキーマ(ビリーフ)」と呼ばれるものです。

人は看板をしょって歩いているようなものです。その看板は自分からは見えにくい位置にありますが、他の人からは割と見えやすい位置にあるようなものです。

「私は弱い人間です」という看板を掲げていれば、相手もそれに反応してきます。ちょっと上から目線だったり、横柄だったり、見下した態度を取ってきたりします。

 

なぜなら、相手はあなたの掲げている看板に反応しているからです。

「私は弱い人間です」という看板を相手が見て、「ああ、弱い相手なら、それにふさわしい対応をしてやろう」

と反応するのです。

 

「私は価値ある」という看板を掲げている人は、相手もそれを見て「この人は『価値がある人』みたいだから、それなりの対応をしてあげなきゃな」と丁寧な対応をしたり、尊重したりします。

逆に「私は価値がない」という看板を掲げている人は、相手はそれを見て「この人は『価値がない人』だから、そういう扱いをしよう」と反応し、わざと冷たくしたり、無理難題を押し付けたりします。

 

つまり相手は、あなたが話す言葉の内容ではなく、

「自分で自分の事を、どういう人間だと思っているのか」というところに反応するのです。

 

人の脳にはミラーニューロンというもがあり、相手の感情に同調するという機能があります。

相手の雰囲気から、相手の看板の内容が伝わってくるのです。

また「私は弱い人間です」と自分の事を思っている人は、自信なさそうだったり、声が小さかったり、少し前かがみだったりと、全身で相手に情報を発信しているので、相手も敏感にそれを感じ取ります。

 

「人生は勝ち負けの世界だ」と思っている人は、それに敏感に反応し、相手に理不尽な態度を取ったりします。

弱肉強食の世界と言えるかもしれません。そういう人がパワハラなど、ハラスメントに走りやすいのです。

 

ですから、いじめ、パワハラに合いやすいのは、その人の意識、「看板(スキーマ、ビリーフ)」が引き寄せているところがあるのです。

 

もちろん、闘いではなく、平和な世界観で生きている人もいます。そういう人は、たとえそういう看板であっても、攻撃してきたりはしないものですが…

 

相手の反応を変えていくためには、「自分で自分の事をどういう人だと思っているか」という「看板(スキーマ、ビリーフ)」をかけ替えると、相手の反応が変わってきます。

 

 

集団療法では、過去のストレスを感じた対人場面で、自分がどのような「看板(スキーマ、ビリーフ)」を掲げていたのかに気づいてもらいました。

相手の視点に立ち、自分がどのように見えるのか、表情、雰囲気、話し方、それの何が相手を引き寄せ、相手のそのような態度を引き出したのか、振り返ってもらいました。

 

人生の中で、理不尽な人間関係のパターンが繰り返されるのは、何かその状況を引き起こしている原因があるのです。それに気づいてもらいました。

 

そして後半は、自信のなさが親子関係に起因したり、仕事に上司に怒られ続けていたことに起因しているのであれば、その人の意見と、自分の意見を切り分けて考えてもらいました。

当時のことを話してもらい〈それは○○さんの意見であって、あなたの意見ではないですよね〉ということをもう1人の人に言ってもらい、自分の意見と他人の意見はそれぞれ別のものであると、気づいてもらいました。

当時は相手の意見を「あっ、そうなんだ」「自分ってそんな人間なんだ」と無条件に受け入れ、解釈してしまったのかもしれません。

それをもう一度、自分は自分のことをどう思っているのか、と考え直してもらいました。

 

またイメージの中で「古い看板(ビリーフ・スキーマ)」を掛け替えて、新しい看板で生きていくと人生はどのように変化するのかを体験してもらいました。