見方をかえれば世界がかわる

見方をかえれば世界がかわる

「見かたを変えれば世界が変わる」
~認知再構成法~

今回は「認知行動療法と言えばこれ」というぐらい、オーソドックスな方法を行いました。
認知行動療法の本を読めば、だいたい載っているコラム法(認知再構成法)と呼ばれるものです。

認知行動療法をちょっと調べると、ネガティブに考えるのをポジティブに考えることでしょう、と思われる方も多いです。

必ずしもそういう訳ではないですが、当たらずとも遠からずと言えます。

まず前半は『アセスメントシート』というフォーマットを使って、どんな出来事に対してストレスを感じたのかを分析していきます。
出来事に対して、「考え(認知)」「行動(その時に自分が取った行動)」「身体反応(手に汗を握る、動悸がする、…など)」「感情(うれしい、悲しい、…など)」を書き出して行きました。

ストレスを感じた出来事について、10枚ぐらい記録を取ると、だいたいその人のストレスを感じるパターンが見えてきます。
人といて、自分の思ったことを言えないと、みじめに感じたり、独りぼっちだと感じるんだな。
仕事やプライベートでちょっとしたミスや、少しでも上手くいかないと、「やっぱり自分はダメな人間なんだな」と自己卑下してしまう…

そのように、その人なりのストレスを感じやすいパターンというのが存在します。
紙に書くということも、頭の中でぐるぐる悩んでいることを見える形にすることで、少し冷静に考えられるようになります。

その紙を見て「確かにそう考えたら落ち込むのも無理もないな」など、少し冷静に振り返ることができるようになります。

また、落ち込みそうになった時、「あっ、これって何かあったら全て自分の責任だと思って、自分を責めちゃうパターンだな」などと、今まで気づかなかったことに、気付くようになります。

後半は、その出来事に対しての、いろいろな観点から考えるための質問を行いました。
これが『コラム法(認知再構成法)』と呼ばれるものです。

例えば、以下のような観点で、考えてもらいます。

その理由が正しいと思える根拠、正しくないと思える根拠
他の人だったらどう考えるのか(家族、友達、職場の人…)
他の人が同じことで悩んでいたら、どんな風に声を掛けてあげるのか
(この質問で冷静になる人も多いです。人からの相談だと冷静に考えられるけど、なかなか自分のこととなると距離を取れないからです)

そのように、とにかく色々な角度から焦点を当てて行きました。

客観的になるためには、色々な質問の方法を知っているといいでしょう。
質問というのは、他の視点に目を向けさせてくれます。

例えば「今日の朝ご飯は何を食べましたか?」とたずねられればその事を考えるでしょう。
また「好きな色は何ですか」と考えれば、好きな色を考えるでしょう。

「その考えが正しいと思える理由は何ですか?」とたずねられれば、正しい理由を考え、
「その考えが違うと思える理由は何ですか?」とたずねられれば、違うと思える理由を考えるでしょう。

最終的には、正しい、正しくないというのはそもそも存在せず、その出来事に対して自分がどのように意味をつけたかによって、解釈はいくらでも自由に変わるものだ、と心から思えた時に、悩みから抜け出せることでしょう。(←これについては前回行いました)

見方を変えるのは、トレーニングをすれば誰でもできることなので、今回はその手順をお伝えしました。

頭ではそう考えられるけど、心からそう思えない…というのはまた、もう少し深いテーマになります。
その点に関しては、集団認知行動療法でも扱うことが多いテーマとなっています。

色々な技術は使えば使うほど、自分のものとなっていきます。

その時々によって、自分に合う技術を使っていけば、よりよく人生を過ごすことができるでしょう。