イメージが変われば世界の見方がかわる

イメージが変われば世界の見方がかわる

影響を与えているのは現実ではなく、頭の中のイメージだった」
~イメージが変われば、世界の見方が変わる~

最近お話しているのは、人は現実をありのままに見ているのではなく、その人のイメージを通して、世界を見ているということです。
無意識のうちにフィルターを通して、現実が加工されているのです。
それが都合よければいいですし、不都合が生じているのであれば、調節していけばいいのです。

社会心理学では、ジェローム・ブルーナーとセシル・グッドマンによって行われた次の研究があります。
それぞれグループ別に、硬貨と同じ大きさの円を描いてもらいました。
裕福なグループよりも、貧困グループの方が、実際の硬貨の大きさよりも、大きく円を描きました。
このことにより、貧しい子どもの方が、お金の大きさを実際よりも大きく感じていることがわかりました。

これはどういう事かというと、お金がある家庭の子にとっては、「欲しいものがあれば買ってもらえばいい」というように、お金をそれほどありがたいものとは思わないのです。
逆に、貧しい家の子だと、お小遣いも少なかったり、おもちゃを買って欲しいとねだっても、なかなか買ってもらえない、ということがあったりします。それで「お金って手に入れるのが大変なんだ」「お金っていうのはとてもありがたいものなんだ」と思うわけです。
その人の中で影響力が大きいものは、実際の大きさよりも大きく感じられるのです。

また堂々としている人は、実際よりも身長が大きく見えたりもします。
自分がたまたま、その人の側に行く機会があれば「あれっ、思ったよりも小さいな」と思うかもしれません。
これも、あなたがその人の影響力が大きいと感じると、実際のその人の大きさよりも、大きく感じていたのです。

「ガリバーの巨人」という物語があります。
ある時、ガリバーの乗っていた船が難破して、たどり着いたら小人が住んでいた世界だったのです。巨人のガリバーは、弓や石で攻撃されても、それが小さいからいたくなかったです。また小人たちが何十人でやる作業を、一人で楽々とやってのけました。
自分が大きくなってしまえば、小人達は、大して影響を与えないのです。
このことは何を教えてくれているのでしょうか?

話しは変わりますが、心理学では昔から、よく研究されているものがあります。
その1つに『自尊感情(自尊心)』の研究があります。

その内容は…
自尊感情が低い(自信がない)と、他人の反応が気になる。他人に関する記述が増える。
自尊感情が高い(自信がある)と、自分の関心があること、やりたいことなどの記述が増える。それに伴い、他人に関する記述が減る。

つまり自信がない時は、人からどう見られるかや、他人の反応が気になります。
そして、自信が出てくると、人目をあまり気にしなくなり、自分がどうしたいのかに、関心が向いていきます。

先ほどのガリバーの巨人の視点から考えると、自分の体の大きさが相手より小さかったり、相手と同じぐらいだと考えていると、他人のことが気になります。自分が巨人になると、周りの人は小さく感じるので、大した影響を感じないのです。

実際に頭の中でも、そのような事が起きているのです。

苦手な人や、自分がより力があると感じた人を思い浮かべると、相手のイメージは自分の目線より上に浮かびます。逆に、相手の方が自分よりも立場が下だと考えると、自分の目線よりやや下にイメージが浮かんだりします。

相手の影響力を変えるために、次のようなことを行いました。

最初は客観的に相手をイメージするために、目線を自分と同じ位置か、自分より下であれば、実際にその位置に相手のイメージを移動してもらいました。
また大きさも実物より大きく見えているのであれば、実際の大きさになっていく様子を想像してもらいました。
また、相手の声の大きさが実際より大きく聞こえていれば、そのボリュームを落ち着いて聞ける大きさに調整して行きました。
また自分の声の大きさが小さくて相手が届きにくければ、実際に相手に届く大きさ調整してもらいました。

このように自分に影響を強く与えている相手は、実際の相手より大きく、声も大きく想像しています。それを現実のレベルに調整して、改めて客観的に相手のことを客観的に捉えてもらいました。
最初とは受ける印象がちがいます。

またガリバーの巨人のように自分が大きくなった姿をイメージしてみたとき、相手をどのように感じられるかを体験してもらいました。

このように相手が自分に与えているかどうかは、現実の相手ではなく、自分のイメージの中の相手がどのようにな姿であるのか、ということが実際に影響を与えています。
頭の中のイメージを調整することによって、改めて相手のことを脚間的に捉えられるようにしていきました。

自分は両親や職場の上司、など特定の人に強く影響されている。自分では何もできない。そんな風に考えている人もいます。
でもその人は、今あなたの隣にいて「~~しちゃいけない」とささやいたり、あなたの体を止めている訳ではありません。頭の中で作り上げた相手のイメージが再生されて、そのイメージがあなたの考え、行動に影響を与えているだけなのです。

そのイメージを客観的に見れるようにしたり、自分を大きくしたりして、相手の影響力を小さくしてみました。
それで「あっ、今まで人から影響されていたと思っていたけど、それは自分の中に残っていたイメージだったんだな」ということに気付いてもらいました。

今まで人に影響されていると思っていたけれど、その影響を解除した時、自分が自由であることに気付くことでしょう。