加害恐怖の認知行動療法9

加害恐怖の認知行動療法9

・加害恐怖の認知行動療法⑨―ノーマライゼーションー

加害恐怖などの思考は、健常者でも浮かぶノーマルな思考なので、認知行動理論では侵入思考という呼び方をします。では、このようなノーマルな侵入思考が、どのようしてアブノーマルな強迫観念になってしまうのでしょうか。

 

誰にでもある普通の侵入思考が、強迫観念になってしまう理由について、いくつかの研究が示しているのは、強迫症患者と健常者では、どちらも侵入思考は浮かんでいるのですが、両者は侵入思考に対する考え方(解釈)が違うと言うことです。特に、強迫症患者は、自らの侵入思考に対して、過剰な責任感に基づく解釈をしてしまうと、それによって侵入思考が強迫観念へと変わってしまうのです。

 

過剰な責任感とは、侵入思考が浮かぶ理由を、自分の性格のせいだと考えてしまうことです。また、「侵入思考に関連するような危険やトラブルが起きてしまうのを、自分は何としてでも防がなくてはならない」といった義務感を感じてしまうことも、過剰な責任感です。他にも以下のような考えかが、過剰な責任感に基づく解釈です。

良くない思考が浮かぶのは、私の不道徳な性格のせいだ

良くない思考をコントロールしなければいけない責任がある

誰かが傷ついてしまう可能性が少しでもあるのなら、私はそれを何としてでも防がなくてはならない

誰かが傷ついてしまう可能性があるのに、それを見過ごしてしまうのは無責任だ